育毛剤は逆効果!? 「脂漏性皮膚炎」による抜け毛対策とは


薄毛の原因といわれているものは、遺伝や生活習慣など様々。「脂漏性皮膚炎」という皮膚の病気もその一つだ。一般的な抜け毛はAGA治療薬や育毛剤で対処することが多いが、「脂漏性皮膚炎」による抜け毛は、こうしたものでは効果が得られないという。

今回は脂漏性皮膚炎と抜け毛・薄毛の関係、治療に効果が期待される薬やシャンプーについて、「ともまさ泌尿器科・皮フ科」(東京都西東京市)を開業する皮膚科医の友政宏院長にお話をうかがった。

* * *

◆「脂漏性皮膚炎」とは?

 ――まず、脂漏性皮膚炎とは、どんな病気なのでしょうか?

「簡単にいうと湿疹です。皮膚が炎症を起こし、痒みを伴います。フケも増えますね。痒みの主因は、皮脂がカビ(真菌)などによって『脂肪酸』に分解され、それが皮膚を刺激してしまうことです」

――原因は何なのでしょう?

「ストレスや生活習慣の乱れなど諸説ありますが、原因はハッキリしません。ただ真菌の影響が大きいと考えられます。脂の分泌が多い所には真菌、中でも『マラセチア菌』という菌が多くいます。これは人間なら誰にでも存在している菌で、毛穴に住んでいるんです。皮膚にはニキビ菌などもいますがマラセチア菌は非常に脂が好きで、脂が増えると同時に増えてしまうんですよ。これが皮膚を刺激します」

tomomasa02【脂漏性皮膚炎について分かりやすく解説する友政宏院長】

◆痒みとフケが脱毛を加速

――脂漏性皮膚炎で薄毛になることはありますか?

「はい。脂漏性皮膚炎が原因で、脱毛を起こしたり薄毛になってしまったりすることはあります。少数ですがこの病気の患者さんの中に、頭髪がかなり薄くなってしまった方がいました」

――何が髪の毛にダメージを与えるのでしょう?

「脂漏性皮膚炎の症状が出やすいのは皮脂分泌の多い、頭や顔など。具体的には、頭皮と髪の生え際、眉間や鼻のわき、耳の後ろなどです。頭皮や生え際に、痒みの症状が出た際に爪を立てて強く掻いてしまうことで、物理的に悪い刺激を与えてしまいます」

――それが脱毛、薄毛につながるということですか?

「頭皮に刺激を与えると余計に炎症を引き起こしてしまうので、毛穴の奥にまで炎症が広がってしまいます。また、脂漏性皮膚炎はフケが多く出てくるので、毛根を詰まらせてしまう場合も少なくありません。それらが原因で、脱毛や薄毛につながる可能性があります」 

hair【脂漏性皮膚炎のフケが毛根を詰まらせる】

 ◆刺激物を塗ったり食べたりすることは厳禁

――脂漏性皮膚炎が原因で毛が抜けてきた場合、どうすればいいでしょうか?

「育毛剤を使う方がいるのですが、逆効果になることが多いのです。脂漏性皮膚炎は刺激を与えることはマイナスになりますから、育毛剤による刺激でより炎症が広がってしまう場合があるんです。育毛剤を使うのは、脂漏性皮膚炎を治してからになります」

――病院ではどのような治療法をすすめますか?

「病院での治療としては、『ステロイド』や『ケトコナゾール』という薬を塗ります。ケトコナゾールは抗真菌剤で、炎症を抑えたり、カビをコントロールしたりする効果があります。炎症のひどい場合は併用して、治まってきたらケトコナゾールだけの治療にするのがいいと思います」

――治すことはできるのでしょうか?

「乳児は自然に治ることが多いのですが、青年期以後に発症した場合、治るまでに時間がかかることがあります。自分でできる予防や再発防止法は、皮膚を清潔にすること。また食事は、カフェインや香辛料などの刺激物は避けます。ストレスを溜めないことも大切です」

stress【治療には生活習慣の改善も大切】

◆悪玉菌をやっつけるシャンプーが話題

――脂漏性皮膚炎に効果が期待されるシャンプーが発売され、売れているそうですね。

「治療でも使われる抗真菌薬の『ケトコナゾール』を主成分としたシャンプーですね。当院では基本的には処方箋を出して、保険適応の『ニゾラールクリーム』『ニゾラールローション』(ヤンセン ファーマ株式会社)を出しますが、時々、ケトコナゾール含有のシャンプーをすすめることがあります」

――シャンプーが売れているのは、手軽にできるからということでしょうか?

「そうですね。処方箋がなくても買えるというのが手軽でいいのでしょう。日本では『ニゾラールクリーム』などは、1度に使う量が決められているので、頭皮全体には使えません。シャンプーなら全体に使えるのが利点です。ただ、治療薬との併用についてのデータは見たことがないので、相乗効果があるかどうかは分かりません」

ninazol【ケトコナゾール含有のシャンプーの一つ「ニナゾルシャンプー」】

◆「ケトコナゾール」はAGAにも効果あり!?

――ケトコナゾールがAGA(男性型脱毛症)にも効果があるという話がありますが。

「日本皮膚学会のガイドラインでは、男性に限ってはケトコナゾールを男性型脱毛症の治療薬として『用いてもよい』と書いてあります。海外ではケトコナゾールの内服による有効性の論文が出ています(日本では内服薬は販売されていない)。日本でもケトコナゾール含有のローションを用いた結果、AGAに対して有効性を示した報告があります」

――シャンプーについてはどうですか?

「データはまだ39例と少ないですが、ケトコナゾール含有のシャンプーが普通のシャンプーに比べ、AGAに効果があるという検証結果があります。ただ、ケトコナゾールは脂漏性皮膚炎の効果については男女ともにデータがありますが、AGAに関しては男性に対するものしかありません」

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今回は脂漏性皮膚炎の症状や治療法について紹介した。脂漏性皮膚炎が脱毛、薄毛につながることや、育毛剤が逆効果なケースが多いことなども分かった。

次回は、脂漏性皮膚炎だけでなく、AGAにも効果が期待されるというケトコナゾール含有のシャンプーについて、具体的な商品を紹介し解説したい。

◆教えてくれたのは…

tomomasa医師:友政宏(ともまさ・ひろし)/筑波大学を卒業後、筑波大学附属病院、板橋中央総合病院・泌尿器科部長などを経て、2013年、東京都西東京市に『ともまさ泌尿器科・皮フ科』を開業。大病院で長く治療を行ってきた経験を生かし、地域の人々に専門的医療を提供し、優しい人柄で多くの患者さんから支持を集めている。

 

 

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