実は育毛研究100周年の資生堂 その新技術に各界から熱視線


悩むハゲ(イメージ)

男性の悩みである「ハゲ」を治す研究が進められている。2年後の実用化を目指す、その画期的な研究のカギとなるのは、「自家細胞移植」だ。

これは、患者の頭皮から採取した「底部毛根鞘細胞」(毛髪の成長に重要な役割を果たす細胞)を培養して人工的に増やし、患者の頭皮に戻して毛髪を蘇らせる移植技術のこと。この新しい毛髪再生医療技術の特許を持つカナダのバイオベンチャー企業、レプリセルライフサイエンス社は米国、豪州、欧州の企業とも提携し、各国が「増毛」研究に鎬を削っているという。

その「日本代表」といえるのが、資生堂だ。「ハゲの夢」を実現するため、資生堂は2013年にレプリセル社と技術提携を結んだ。驚いたのは、資生堂という企業がここまで熱心にハゲ研究に勤しんでいたことだ。

「一瞬も一生も美しく」「日本の女性は美しい。」などのキャッチコピーで知られる同社は、女性向けの化粧品の製造・販売というイメージが強い。

しかし、意外にも資生堂の育毛研究は昨年で「100周年」を迎えた歴史ある事業なのだ。化粧品業界誌『月刊 国際商業』を発行する国際商業出版の栗田晴彦社長が解説する。

「明治5年(1872年)創業の資生堂は日本における“育毛のパイオニア”です。育毛剤の草分け的存在といわれるヘアトニック『フローリン』を大正4年(1915年)に発売し、以来100年にわたって育毛の研究に取り組んできた」

◆海外薄毛市場でも大ヒットを記録

その歴史の中で資生堂は質の高い商品をいくつも世に送り出してきた。

1982年には育毛剤「薬用不老林」が大ヒットし、2005年には毛髪を長く、太く、すこやかに成長させる成分「アデノシン」を含むスカルプケア商品「薬用アデノゲン」を発売し、話題になった。

さらに海外展開も進んでいるという。

「資生堂は海外の薄毛市場にも積極的に目を向けてきた。2011年からアジア市場に展開した育毛剤『ザ・ヘアケア アデノバイタルスカルプエッセンス』は発売から1年半で売り上げ100万本を記録する大ヒットとなりました」(医療経済ジャーナリスト・室井一辰氏)

そんな老舗の資生堂がハゲ対策の切り札として近年、力を注いできたのが今回の自家細胞移植なのだ。

2014年11月に再生医療新法が施行され、これまで医療機関にしか認められなかった再生医療のための細胞の培養や加工について、企業も一定の条件を満たせば行なえるようになった。それもあって資生堂はレプリセル社との提携や神戸の拠点開設など、再生医療による毛髪再生の実現に向けた布石を着々と打ってきた。

その背景には化粧品市場の縮小も影響しているようだ。高齢化が進み、国内の化粧品需要は伸び悩むとみられている。

その一方、中高年男性の薄毛市場は潜在的な成長分野だ。日本人の男性で薄毛を認識している人は約1300万人とされるが、資生堂はこの“金脈”に目を向けたと解説するのは経済アナリストの森永卓郎氏だ。

「これまでになかった技術を生み出せれば、大きな反応が期待できる分野です。中高年男性の薄毛市場では長年の研究の蓄積もある。資生堂は今後、この分野により注力していくのではないでしょうか」

2018年には「日本の男性は美しい。」なんてキャッチコピーが打ち出されているかもしれない。

◆あの人が「オレを実験台にして!」

自家細胞移植の実用化を待ち望む声は多い。

本誌のハゲ特集に幾度も切実なコメントを寄せてきた“日本を代表する薄毛タレント”の東国原英夫氏に「夢の研究」を伝えると満面の笑みを浮かべこう語った。

「我々ハゲ族に一筋の希望の光がピカッと見えました。臨床実験の実験台になるので、ぜひともお声がけをいただきたい」

資生堂の取り組みをビジネスの観点から語ってくれた前出の森永氏だが、実は今回の取材で「頭頂部がカッパになっているんです」と打ち明けてくれた。

同氏もまた、冷静な分析とは裏腹に技術そのものへの興奮は隠せないようだ。

「自分の細胞を移植すればメンテナンスも不要な上、きわめて自然な毛が生えてきます。実用化されれば、人類史上に残る“一大革命”になることは間違いない」

毛髪研究のプロも大きな期待を寄せる。

国際毛髪外科学会会長で日本臨床毛髪学会理事長の柳生邦良・紀尾井町クリニック院長が指摘する。

「理論的には後頭部から細胞を取って培養すれば、大量に増やせるはずなんです。自家細胞移植は古くから研究されてきたがなかなか結果が出なかった難しいテーマ。資生堂の臨床研究の今後の進展に大いに注目したい」

実用化も遠い夢でなくなった毛髪の細胞移植。気になるお値段はやや高めになりそうだ。

「自由診療になる見込みです。患者が負担する費用は自毛植毛と同じく、数十万円から200万円程度はかかるのではないか」(前出・室井氏)

薄毛に悩む人は2年後に備えて、「ハゲ解消積み立て」を始めたほうがいい?

※週刊ポスト2016年4月1日号

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