「全力でハゲを愛す」第3回 カミングアウトから愛は生まれる


ハゲが愛おしくて仕方のない、とあるアイドルオーディションの二次審査に受かった理由のひとつである審査時の写真と動画を見た人から「デブ」「ブス」と散々言われイラッとし「むくんでいただけだ」と言い訳をかましたので酒と塩分を控えむくみ解消に努めた結果「カワイイ」と評価が逆転し「ポテンシャルは高いんだよ」と強気になり、そのアイドルオーディションに付随するイベントに出たところうっかり酒を飲み過ぎて多くの方に迷惑をかけてしまったゴミクズ28歳フリーライターの女、シマヅです。

シマヅ

人は、いくら見た目を繕っても「その場の行動」によって他人からの評価が変わる。相手が初対面とか特に親しくない人とかであれば、なおさらだ。

「ハゲを悪くしているのはハゲている男性自身」「フサフサ時代と比べる意味なし」「ハゲは勇者の証」が、この連載コラムの三本柱。今回は、それらを全て悟ったうえで適切な「その場での行動」をした、先日出会ったハゲ男性を紹介しよう。

◆ハゲと真実の愛――事実

フト目にしただけのアニメやマンガのキャラクターを、「カワイイ」とか「カッコイイ」とか思っても特に感情移入できないのと同じように、「親しみ」を持つためには対象の「背景」を知らなければならない。背景とは、カタカナ語ではない「キャラクター(character)」のことだ。背景を知り親しみを持つと、「相手と仲良くなりたい、親しくなりたい」と思うものだが、それはアニメやマンガの登場人物が相手だと、なんかのビッグバンが起こらない限り絶対に無理。抱いた親しみは、ただの一方通行になる。とはいえそれは、作者の家に押しかけて「私とこのキャラがラブラブしているシーンを描いてください!」と懇願するなどの常軌を逸した行為に至らない限り、悪いことではない。

人間相手でも同じことが言える。グループ名によくBがつく某アイドルグループは、その最たる例だろう。外見で興味を持ち、出ているテレビ番組や当人のSNSを見るにつれ相手のキャラクターが分かってくる。ここは2次元と3次元の違いなのだが、実際に相手と会えて、手のぬくもりや生の声が聞ける握手会なんかに行くと「親しくなりたさ」は倍増する。ただそれは超超超多くの場合、2次元の例と同じように親しみを抱いた人間の一方通行で終わる。もちろん、悪いことではない。むしろ、3次元相手だと「対象のことは好きだが、迷惑をかけてはいけないのでもっともっと応援しよう」と、相手への「安全な愛」に変わる(と思う)。ちなみに、「悪い愛」はストーカー化するような、対2次元と同じく「常軌を逸した行動に出る」ことだ。

要するに、「親しくなる」とは「“秘密”を共有する」ことなのだが、共有と言っても「共有している気持ちになるだけ」で相手に迷惑さえかけなければ、親しくなったと思い込んでも問題ないのである。

秘密が「弱点」だと、もっと親しみを感じる。弱点を隠したがるのは人として普通であるがゆえ、それをおおっぴらにする人を見ると「こんなふうに弱点があるのは自分だけじゃないんだ」と、人間としての親近感を覚えるのだ。

シマヅ連載ハゲLOVE3_1

女性の場合、例えば「貧乳」。筆者はブラのパットを盛り盛りにしているが、女性に「私、おっぱい小さいんでパット3つ入れてます。見てくださいホラ!」とかやられると、相手が愛おしくて仕方なくなる。

男性の場合、例えば「カツラ」。筆者は頭髪を盛り盛りにはしていないが、「俺、ハゲてるからカツラかぶってます。見てくださいホラ!」とかやられると、相手が愛おしくて仕方なくなる。

両ケースともに、初対面で相手のキャラクターを知らないうちに突然やられると当然、困惑する

しかし、親しく感じた人間に弱点を見せられると、愛が生まれるのだ。保証する。だって、その現場を見たから。

◆ヅラカミングアウトプロポーズ──事実と妄想

先日、東京の恵比須にあるちょっとオシャレなバーに行ったところ、女性連れのハゲ男性がカウンター席の私の横に案内された。最初、その彼はハゲではなかった。不自然にフサフサしていた。なんかコメカミあたりがおかしかった。要は「オヅラ」っていた。オヅラが分かんない人はググってください。

そのオヅラβさんは、おそらく40歳前後。お顔が成功しているとは決して言えなかったが、とてもキレイで巨乳な若い女性を連れていた。

オヅラβさんは私の隣に(正確に言うと、女性を挟んで更に一席空けた隣)いて、なんとなく会話が聞こえてくる。「お疲れなー。今日どうだったのよ?」の一言から、ふたりが一応親しい間柄なのが分かる。それ以上のことは聞き耳立てるのも無粋なのでわからないのだが、数10分経ってから強烈な出来事が起きた。

「今まで隠していたけど、俺、ヅラ。それでもいい?」と、オヅラβさんがコメカミのあたりを軽く浮かせて見せ、その流れのまま連れの巨乳女性に指輪を渡したのである。巨乳女性は「いいよ!」と言った。おふたりにとっての「いい」が何なのかは、親しくない間柄の私からしたら見当もつかないけれど、オヅラβさんが(バレバレだけど)弱点の「カツラでハゲを隠していた」ことを彼女に告げたことで、彼女がハゲを受け入れた(指輪を受け取ったから)なのは明らかである。

シマヅ連載ハゲLOVE3_2

以上が事実。ここからは妄想だ。

ふたりは互いに、当初から「なんか気になるな」と意識し合っていた。キレイな巨乳女性のおっぱいは、パットによって盛り盛りであったが彼女はそれを“秘密”にしていた。一方、オヅラβさんは派手にハゲていて、それを“秘密”としてカツラを被っていた。両者が隠している「秘密の弱さ」に感づき、ふたりは徐々に仲良くなっていった。親しみを覚えるが、それが恋かどうかは分からない。その間に、相手が「どういう人間か」――要は「キャラクター」を知っていくこととなる。そして、ふたりきりでオシャレなバーに行くほどの間柄にまでなり、「ウイークポイント丸わかりだけど隠したい気持ち分かるよ」が根底で合致したふたり…特に偽巨乳女性は、オヅラβさんがカツラなのを日に日に確信していった。

プロポーズの当日。「カツラをかぶっている」と、オヅラβさんが秘密だった弱点を親しくなった彼女の前でおおっぴらにしてくれたことで彼への愛情の有無を自分に問い、「愛している」との結論に至ったのだ。そして今は、めでたく結婚し、自宅でデッカイ黒い犬を飼っている。ちなみにその過程で彼女の“秘密”もバレている。

――ハゲるということは、“秘密”にしやすいファクターを頭上に掲げるということだ。そしてそれがアンテナとなり、“秘密”をもつ女性をひきよせるということだ。それを短く言うなら、「ハゲれば真実の愛を見つけられる」。弱みだと思っていた部分をしっかり愛してくれて、そのうえで「隠していようと晒していようと好きです!」と言ってくれる人が必ず現れるのである。

でも、「距離感」は課題かもしれない。前述のとおり、距離も縮めないままにテカテカ頭を前にして突進していくのはあまり得策ではないだろう。近づいてうまく隠して、そしてうまく晒すべし。とはいえ私はハゲ大好きなのでどんな突進でもドンと来いです。

イラスト・文/シマヅ

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