「美容師のホンネ座談会」第1回 薄毛のお客さんが来たら…


髪の毛が潤沢にあれば流行のスタイルやカラーに挑戦しようといさんで美容院に行くのだが、減って来ると二の足を踏んでしまいがち。
「髪がこんなに少ないのに行くのはヘンかな?」「やっぱオシャレな美容室はハゲとは無縁のお店なのか?」などと萎縮してしまう。
さらに、「美容師は薄毛やハゲのお客さんが来たら実際どう思っているのか?」という疑問もある。

そこで、髪の少ないお客さんと対峙したとき、美容師は具体的に何を思うのか?
男性2名と女性1名の美容師に、日ごろのホンネから髪に役立つアドバイスまで赤裸々に語ってもらった。

01

STYLIST 松浦雅人

matsuura「Cache cache 白金高輪店」
http://www.cache-cache.co.uk/

STYLIST 荒井佑典

arai表参道にてフリーランスのスタイリスト
https://hair222.amebaownd.com/

STYLIST 大森(仮名)

jyoushizadankaigirl美容師歴10年以上。都内のチェーン店に勤務。ショートカットが得意。

◆生まれたときから髪の量は決まっている?

──美容師として感じるハゲや薄毛の人の共通点ってありますか?

大森 この人は髪質がしっかりしてるから、全体的にハゲることはないだろうってのはわかるよね。目で見てわかる。

松浦 毛穴から3本以上生えてんじゃないかって思うほど密度の濃い人は、きっと大丈夫だろうなって思うよね。髪の量が多ければ単純にハゲにくいかなっていう。

荒井 髪の毛が細かったり柔らかったりすると、お子さんもその傾向が強いなって思います。

松浦 いま働いているお店が、街の美容室って感じでファミリー層が多いんだけど、お父さんとお母さんの髪の毛が多いと、子供も生まれて間もなくから「毛が多いな」って思うし、薄毛の人の子は「毛が少ないな」って思う。
将来的に薄毛になるかどうかは別としても、生まれたときから根本的な髪の量っていうのは、決まっているような気がするね。

荒井 後ろの髪はケア不足で抜けて、前髪が薄くなるのは遺伝っていうよね。

松浦 均等に切っても髪の毛って同じように生えてこないんだよね。特に男の人はトップが伸びるのが遅くて、サイドは早いの。

大森 確かに、わずか1か月かそこらで耳の横とかめっちゃ伸びてるのに、トップはほとんど伸びてない人はいますね。

松浦 「前回と同じで」って言われても、明らかにてっぺんは切らなくていいんじゃないかっていう人がいるんだよね。横は2センチくらい切ってもトップは切らないほうがいいなっていう。男の人のほうがわかりやすいけど、女の人でも前髪伸びてないなっていう人はいるね。

荒井 ベジータみたいに前髪の生え際がM字になってる人なんかは、やっぱり年齢とともに進行してる傾向があるかな。

◆男と女で薄くなり方が違う

──髪が薄くなった人に「ハゲの危険」をストレートに伝えますか?

松浦 男の人と女の人では薄くなり方が違うんですよ。男の人は髪が減ってハゲてくる。女の人の場合、髪の量は変わらないけど一本一本が細くなってきたことで薄くなるという感じなので、女の人には「最近、毛が細くなってきたね」という伝え方をします。
薄くなったっていうよりは「ボリュームが少なくなってきてる」とか「地肌がわかりやすくなってきてる」って言いますね。「この辺、薄くなってますね」とは言いづらい。でも、男の人には結構はっきり言っちゃってるかも。

荒井 僕も松浦さんと同じで女の人には「細くなってるよ」と伝えます。

大森 私は髪の話とか頭皮の話になったときに、それとなく言いますね。自分からは言いません。

──なぜ言いにくいことをはっきりと伝えるんですか?

松浦 薄毛を隠したがる人は、髪を長くすることで隠そうとする傾向が多いんですけど、そうすると余計に目立ってしまうからです。そこは短くしたほうがいいよっていう提案をするために。

荒井 僕も薄毛の場所を伝えないと、髪型の提案ができないって意味で伝えます。本人がちゃんと知っておかないと薄毛に対して意識もしないだろうし、それを言えるのは美容師しかいないと思うから。

──ハゲてきたお客さんに対して気をつけていることはありますか? 例えばシャンプーのときの注意点など。

荒井 薄毛の人は血行よくしたほうがいいと思って、しっかり頭皮をほぐしてあげます。

大森 私はヘッドスパなんかをオススメします。やっぱりお客さんも興味があるみたいだから。

荒井 あまり触らないほうがいいんじゃないかって心配しているお客さんは多いかな。実際、僕のお客さんで頭皮を触ろうとしない人がいるので「動かしたほうがいいんだよ」っていうことを理解してもらう感じで、ほぐしています。

松浦 そうだね。むしろマッサージはしたほうがいいって思う。あと、薄毛の人にはスタイリング剤のつけ方とか気をつけるね。女の人もそうなんだけど、髪の根本からスタイリング剤をつけるとダマになって、薄毛が余計に強調されちゃう。
男の人で薄毛の人にはウェットな質感よりもドライな質感のスタイリング剤を選んだり、毛先にしかつけなかったり、あと前髪にはほぼつけないようにしたり。
前髪につけすぎるとバーコードの状態が強調されたり、すだれみたいになっちゃうんです。スプレーだけで仕上げることもありますね。

05

◆薄毛は分け目をつけないほうが得策

──薄毛の人がオーダーする場合、よい方法があればアドバイスしてください。

松浦 分け目はつけないほうがいいかな。例えば前髪を長くしてセンターパートにするとか。薄い人ってトップのボリュームがなくなっていることが多いから、トップを分けたスタイルは極力避けたほうがいいと思うんです。
オーダーするときに「ざっくりと右側のほう」ならいいけど「分け目をここにしてください」って言わないほうがいいと思います。
それと、男の人は基本的に短くしたほうがいいかなと。

荒井 確かに「伸ばしたい」とか「前髪を流したい」っていうのは困るかな。

大森 固定概念ガチガチで来られると、やりづらいことはありますね。

松浦 ちょっと前、男の人の髪型で「ツーブロック」って流行ったんですよ。でもトップが薄い人がやると髪の薄さが強調されるから、やめたほうがいいのにって思うことがあります。

大森 毛が生えている密度が元々少ないのにサイドを3ミリまで刈ってしまうと、毛がないみたいに見えちゃいますね。薄毛の人からそういうオーダーが入ると結構困ります。
そのときは「6ミリぐらいにしておきます?」って提案します。納得してもらえない場合は「それやっちゃうと本当にツルツルになっちゃうんで」みたいな感じで言うかも。

──自分で薄毛と認識しているけど、触れられたくないお客さんにはどう対処していますか?

松浦 「こっちのほうが格好いいですよ」って言います。

荒井 僕は基本的に薄毛に気づいていようがいまいが「こうしたら薄毛がカバーできますよ」みたいなカウンセリングはしません。
美容師さんは毛が薄いことに気づいていると思うから「格好よくしてください」っていうオーダーを受けて、薄毛を目立つスタイルにはしません。

大森 薄毛を気にせずに普通に髪を切る感覚で来てくれればいいんです。

荒井 あと、先入観やこだわりがあるのかもしれないけど、女性のお客さんで「段を入れたくない」っていう人が結構多いよね。段を入れたほうがボリューム感が出せるとか、ふんわりさせられるっていう話をしても「嫌です」って言われると、悩むよね。

大森 あと「すかないで」とかね。

松浦 美容師の対応の仕方によるかもしれないけど、ある程度イメージを伝えて欲しいっていうのはあるよね。決まった髪型じゃなくて「あの俳優さんみたいに」とか、イメージだけ伝えてもらって「ここはこうしましょう」とか話し合いながら、その人の個人オーダーみたいにする。
ガチガチにオーダーを決められるとむしろ大変。分け目にしても「ここ!」みたいに決められちゃうと、やりづらくなるかもね。

大森 ネットで調べることができるせいか「レイヤー」とか「セニング」とか、業界用語っぽいことが頭に入っちゃってるお客さんはやりづらい面がありますね。
オーダーの内容を聞いてみたら実は全然わかってないパターンもあったりする。聞きかじりの知識は持たなくていいと思います。本人はボリューム出したいのに全然違う用語で注文されると「それ違いますよ~」ってなる。

◆薄毛の人のセルフカラーは絶対NG

──薄毛の人でも髪を染められるんですか?

荒井 うん、染められます。

大森 頭皮への影響は、使用する薬剤が何かにもよりますね。白髪を染めたいのか、明るくしたいのかで話が変わってきます。

荒井 実は白髪を染めるほうが厄介なんです。たっぷり塗らないと髪の毛が浮いて、染め残しができちゃうから。白髪染めの液剤は熱で反応するため、効果を上げるためには髪を浮かせないように頭皮につけないといけないという特性があるからです。

大森 白髪染めは液剤をしっかり髪にのせないと、髪質によってはうまく染まらないんです。頭皮に必ずついてしまうからこそ、アフターケアは重要なんです。

──その場合のケアというのは?

大森 ケアは頭皮を保護できるクリームとかオイルで、しっかり行わないとなりません。薄毛で白髪の人は、より入念なケアが必要になりますね。

松浦 薄毛で白髪の人は染められないわけじゃないんです。頭皮ケアのクリームを塗り込んでやればいいわけです。頭皮がかぶれやすい人も同じようにケアします。

大森 場合によっては、地肌近くのほんの数ミリが染まらないことをご理解いただいて、そこだけは諦めてもらうとか。

──自分で染めるのは?

荒井 やめたほうがいいですね。

大森 染色剤の塗り分けができないからです。美容室に行けば髪質を見て判断できたり、液を変えたりできるけど個人ではできないと思います。市販で白髪染め用の泡とかコームとかいろんな種類があるけど、満足のいく仕上がりになるかは疑問です。

荒井 市販の染色液って、実は薬剤自体がすごい強いんですよ。

大森 誰でも簡単に染められるように作ってあるから。それが頭皮についたら多分、皮膚まで染まっちゃいますよね。

松浦 美容室で染める利点ってリタッチ(染めた部分と髪が伸びて染まっていない部分を染め直すこと)が、全部キレイにできるということだと思うんです。ハゲてる人とか薄毛の人って髪の力が弱くなってきているから、ヘナヘナしてたり細くなってたりする。
髪の毛の余力を自分で殺してしまう覚悟があるなら個人で染めてもいいけれど、オススメしたくはないですね。

◆今回のポイント

1:頭頂部の毛の伸びが遅い人は要注意!

2:薄毛の人こそ美容師にお任せを!

3:細かすぎるオーダーはNG!

4:薄毛でもヘアカラーは可能。ただし自分で染めちゃダメ!

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